不公平な遺産分割

相続は多くの方が体験するライフタイムイベントのひとつです。しかし、相続は突然発生することも多く、その「いざ」というときのために、相続の制度や相続トラブルに備えた法律の仕組みを勉強しているという方は大変少数です。相続人が複数、しかも相続人同士の関係が良好でない場合、ご自身の相続分がどうなるのか不安に感じたり、ときに不公平な遺産分割を一方的に押し付けられることがあるかもしれません。

ここでは、不公平と感じる遺産分割の提案を受けた場合の対応等について解説します。

適切な相続分とは?

遺産分割は、原則として法定相続に従って相続することになります。しかし、被相続人から生前、他の相続人が学費や結婚費用、資金などの援助を自分より多く受けていた場合や、自分が献身的に被相続人の介護や事業を手伝っていたような場合は、基本となる法定相続分から増額される可能性があります。また、逆に他の相続人よりも多く生前贈与を受けていたり、他の相続人が献身的に被相続人の介護や事業を手伝っていた場合は、法定相続分より減額される可能性があります。したがって、適切な相続分はケースバイケースであるため、相場はありません。

遺産分割をするにあたって、法律上に定められた主張を行うことは、それぞれの相続人に定められた権利です。しかし、最終的にその主張が通るかは、その主張に法的根拠があるかどうかで決まります。自身の相続分について不安のある方は、相続問題の経験ある弁護士に相談し、ご自身の状況について確認してみるのもよいでしょう。

不公平な遺産分割になりそうなときは

脅迫や詐欺などによる強引な遺産分割内容への合意は取り消すことができます。また、そういった他の相続人や関係者による脅迫や詐欺行為があった場合には、裁判所に対して「遺産分割協議無効確認の訴え」を行うこともできます。このように、不公平な遺産分割は後から無効を争うことができますが、その分時間も費用も大きな負担となります。協議の段階から弁護士を代理人として立て、法的根拠に基づいてしっかりと主張しながら交渉することで、不公平な遺産分割を未然に防ぐことができます。