相続トラブルの解決事例 13

亡くなられた母親の遺産相続にあたり、兄弟が多数いるため遺産分割協議が進まないことから、弁護士が適切な提案を行い、遺産調停の段階で遺産分割を成立させることができた事案

解決事例13

解説弁護士
谷 靖介
トラブル内容
遺産分割協議
解決方法
調停
ご依頼者
G.Rさん
受任年
2018年
解決年
2019年

相続トラブルの概要

本件は、お母様の相続に関する遺産分割調停の事案です。ご相談者の方は、多数の兄弟(相続人なる方々)がおり、他の兄弟のなかには高齢者や亡くなられている方がいらっしゃいました。

元々のご相談者のご実家は東北地方でしたが、数年前にお母様(被相続人)がご高齢になられたため、子どもたちが住む関東地方に引っ越しをして、お亡くなりになるまでお母様は介護施設で暮らしてきたとのことでした。

そのため、実家にあった土地建物等の不動産は生前のうちに売却ずみで、主たる遺産は預貯金でした。

このように、本件では遺産の内容はシンプルであるものの、①相続人となる当事者が多数であること、②それぞれの相続人の居住地が関東や東北に散らばっていて集合しにくいこと、③当事者の中には高齢で移動が難しい方もいらっしゃること等、遺産分割協議を進める上でのネックになりうるご事情も見受けられました。

また、兄弟のなかに他界されている方がおられ、亡くなった兄弟の子が代襲相続人になっていたところ、代襲相続人の中にはこれまで親戚づきあいのない方もいらっしゃるため、ご相談者はそのような面でも、遺産分割協議を進める上での不安を感じておられました。

解決に向けてのポイント

当事務所に相談にお越しいただいた段階で、相手方の相続人の1人から、遺産分割調停が申し立てられていました。

遺産分割は、全員の同意がないと成立しないため、基本的に遺産分割調停には、相続人となる方全員で出席していただく必要があります。

上記でも触れましたが、それぞれの相続人のご事情から、全員が毎月1回一定の裁判所に集まることは難しく、参加できない相続人の方々は、ご相談者と遺産分割に関する方針を共有しているとのことでした。

そこで担当弁護士は、他の相続人の方々から、ご相談者へ相続分を譲渡していただいて、ご相談者が他の相続人の代表者のようになって、遺産分割調停の当事者を整理する方法をアドバイスさせていただきました。

解決に向けた交渉の経過

相続分の譲渡を行ったことで、調停に参加する当事者は、ご相談者と相手方の2人となりました。

その後は、1対1での遺産分割調停を行うことができ、調停手続を円滑に行いやすくするメリットがあったと思います。

当事務所が関わった結果

最終的には、相手方と協議を重ねた結果、法定相続分にしたがって相続預貯金等を分割することになり、遺産調停の段階で遺産分割を成立させることができました。

遺産分割をする場合、これまでの付き合いがない親族と協議しなくてはいけない場合もあります。このような場合、感情的に対立しがちで、なかなか当事者同士の話し合いが進まないこともあります。

この点を考えると、公の場で話し合いをすることができ、定期的に協議の機会をもうけることができる調停手続が優れているといえるでしょう。

ただし、調停を申し立てる場合には、原則として、相手方住所地の家庭裁判所にする必要があることや、本件のように多数の相続人がいる場合や遠方の裁判所にわざわざいけない場合、どうしたらよいのかお悩みになることがあるかもしれません。

このような場合は、個別に弁護士に相談されることをお勧めします。

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