相続トラブルの解決事例 20

亡くなった父親の遺産相続について、実家と距離をおいていたご依頼者は弁護士に一切の交渉を任せ、希望に沿った遺産取得することができた事案

解決事例20

担当弁護士
今井 浩統
トラブル内容
遺産分割協議
解決方法
交渉
ご依頼者
Xさん
受任年
2019年
解決年
2019年

相続トラブルの概要

ご依頼者:Xさん

相手方:Yさん(Xさんの母)、Zさん(Xさんの妹)

被相続人:Aさん(Xさんの父)

Xさんは、幼少の頃、Yさんと性格が合わなかったことから、早々に家を出て一人で暮らしていました。このため、XさんからYさんに連絡を取ることはありませんでした。

ほとんど音信不通だったのですが、Yさんから、Xさんの奥さんに、Aさんが亡くなったという連絡がありました。Xさんとしては、当初は遺産を受け取る気持ちはなかったものの、子どもの進学等のためにお金が必要であったことから、遺産を取得したいと考えるようになり、当事務所に相談に来られました。

解決に向けてのポイント

ご依頼者であるXさんが希望されたことは、「法定相続分を現金で取得したい」「Yさんと直接連絡は取りたくないので、一切の交渉を弁護士にお願いしたい」の2点で、この点に沿って交渉した結果、金額等で揉めることなく約3か月でスムーズに解決することができました。

解決に向けた交渉の経過

Xさんは、Aさんの遺産についてその内容をほとんど知りませんでしたが、Aさんの生活歴等を把握しておりましたので、それをヒントに遺産の調査を行いました。

遺産の調査終了後、私からYさんに遺産分割の提案を行いました。Zさんの取得分については、YさんとZさんの考えがあるようでしたので、私の方から口出しをすることはしませんでした。

Yさんは、知り合いの司法書士にお願いしたいとのことで、その後2週間ほどで当該司法書士から、こちらの提案を踏まえた遺産分割協議書が届きました。

こちらの協議書の内容には、事後的な手続において銀行等とトラブルになりかねない内容が含まれていたため、私の方でXさんの了承のもと、Yさんの希望に沿った手続ができるよう協議書案を複数作成し、Yさんにその中の1つを選んでもらう形で遺産分割協議が成立しました。

当事務所が関わった結果

Xさんの見解として、Yさんは遺産分割の協議にはすぐに応じてくれるだろうと話しており、実際に遺産分割それ自体の交渉は非常にスムーズに進み、金額等でもめるようなことはありませんでした。おそらく、XさんがYさんと直接交渉してもこの点は変わりなかったと思います。しかし、YさんはXさんのこれまでの生活やXさんの子どものことなど、本件とは無関係なことをXさんに伝えてほしいと話していました。母親としてXさんのことを心配してのことだったとは思いますが、そもそもXさんとの関係があまりよくはなかったため、Xさんにお伝えしても感情的なトラブルになりかねないような内容ばかりでした。

このような事情からしますと、経済的な点からは弁護士の介入するメリットが感じられないかもしれません。しかし、私の経験からご本人同士で交渉された後に相談に来た場合、感情的な対立から調停等の手続を利用せざるを得ないことが多く、かえって時間的にも経済的にも疲弊してしまうことが多々あります。本件は、一見すると経済的なメリットがなさそうですが、解決までの事件の流れを振り返ってみると、遺産分割事件としては極めて短期間で解決した事件に分類され、弁護士の介入した意義が極めて大きかった事件だと思います。

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